公益社団法人 長崎県公共嘱託登記嘱託土地家屋調査士協会

平成25年度 長崎協会だより

第3回 公嘱協会公開講演会の報告

 さる、平成26年6月6日、早稲田大学法学学術院教授 首藤重幸先生を招き「公共財産と登記」と題して講演をして頂きました。

会場となった長崎市出島町の長崎県農協会館には一般市民や官公署等の職員さん、司法書士、土地家屋調査士の方々63名に参加をして頂きました。

講演の様子

 

講演内容は、公共財産の法的位置付や道路法に基づく道路管理と道路法の適用されない法定外公共物の管理の相違点や問題点、管理者としての対策などを判例、実例をもとに講義をされ、その中での登記の重要性について解かり易く説明を受けました。

なお質疑応答の中で参加者の方から公共財産と登記に関して意見があった事を踏まえ、首藤重幸先生からは今後の新たな課題として研究していきたいとの回答がありました。

講演の様子

 

報告者 総務部 宮脇成芳

平成25年度未登記建物の表題登記促進事業の報告

 この未登記建物の表題登記促進事業も3年目となりましたが、平成25年度については、五島市と波佐見町を対象に実施いたしました。
この事業は、すべての官公署の建物が表題登記される事により、不動産登記制度が国民の方にとってさらに安心して利用しやすい制度になることを目指し、10ヶ年の計画を策定し長崎県下の官公署所有建物を当協会が無償により表題登記を実施しております。
五島市においては、昭和39年に新築された市役所庁舎の建物表題登記を実施いたしました。

五島市庁舎

五島市庁舎

市役所庁舎は五島列島の南の玄関となる福江港近くに位置し、鉄筋コンクリート造陸屋根5階建、車庫などを含めた延べ面積が6,667㎡の規模を有している建物です。

五島市長への引渡の様子

五島市長への引渡の様子

波佐見町においては、通称 ウェーブホールと呼ばれている波佐見町総合文化会館の建物表題登記を実施いたしました。

波佐見町総合文化会館

波佐見町総合文化会館

建物の概要は、登記の種類が公会堂、鉄筋コンクリート造鋼板ぶき3階建 延べ床面積が3,921㎡となっております。
総合文化会館は、焼き物の町として知られている波佐見町の中心部に、平成10年に新築されており、町民の方や町外の方々にも、イベントや行事に広く利用されています。

建物の調査の様子大ホールを舞台から撮影

建物の調査の様子と大ホールを舞台から撮影

波佐見町長への引渡の様子

波佐見町長への引渡の様子

平成26年度以降も県下の官公署を対象に表題登記促進事業を継続して実施していく計画です。

平成25年度・出前授業の報告

 県立鹿町工業高等学校において、土木技術科の2年生 36名を対象とした平成25年度の出前授業を平成26年2月13日に行いました。
3校時の時間を学校から頂いて約3時間の授業となりました。
最初の1校時で土地家屋調査士の資格や土地と境界線などに関する授業を教室で行いました。

TSによる測量を行う生徒と先生役の土地家屋調査士

TSによる測量を行う生徒と先生役の土地家屋調査士

歩測の練習をする生徒

歩測の練習をする生徒

体験実習として、屋外にて歩いて距離を測る歩測、巻尺を使った測量、最新の測量機器TSでの測量を班分けし生徒と調査士が一緒になって測定を行いました。
各測量の結果を教室に持ち帰り、整理、計算、図面化して各測量結果の比較を行いました。
歩測で距離が測れるとは、生徒の皆さんも認識していなかったようでしたが、目的次第では、歩測で距離が測れる事が体験できた様でした。

講義を行う土地家屋調査士

講義を行う土地家屋調査士

地図作成作業への取組み

公益社団法人 長崎県公共嘱託登記
土地家屋調査士協会
佐世保地区 佐 野  聡

当協会が「地図整備の促進等に係る受託事業」として行っている事業のうち今回は、地図作成作業をご紹介します。
ここでいう地図とは、不動産である土地の所在位置や、形状、近隣の土地との位置関係、さらに境界の位置などを表した図面であり不動産登記法第14条第1項にいう地図(以下、「法第14条1項の地図」といいます。)として登記所に備付けられている大変重要な登記情報の一つです。
この地図が備付けられていない地域では、地図が備付けられるまでの代用として不動産登記法第14条第4項による地図に準ずる図面(字図等)しか備付けられておらず、土地相互のおおよその位置関係は確認ができても、具体的な土地の区画、形状や境界の位置等の詳細な情報までは確認することができないものが数多く存在し、不動産取引や課税等の上では大変重要な登記情報の一部である地目や地積についても必ずしも正確な表記がされているとは言えないのが現状です。

多くは明治期に作成された不動産登記法第14条第4項の地図に準ずる図面

(字図)
多くは明治期に作成された
不動産登記法第14条第4項の地図に準ずる図面

法第14条1項の地図に認定することができる地図作成の事業には、土地改良事業や土地区画整理事業、都市再開発による換地事業など幾つか存在しますが、当協会による法第14条1項の地図作成事業は、地籍調査事業と登記所備付地図作成事業を行っています。

地籍調査事業とは、昭和26年に国土調査法により始められたもので、現在国土交通省が推進し市町村が主体となって進められており、全国の登記所で整備されている法第14条1項の地図の殆んどがこの事業による成果となっています。
一方、登記所備付地図作成事業は、法務省(法務局)が行っている事業で、主にDID(人口集中)地区のうち字図等が混乱している地域を整備し境界の混乱を解消してゆくことを目的とするもので、地図の作成と同時に1筆ごとの地積測量図の作成までを行っています。

法第14条1項の地図の整備状況は、全国的にみても50%程度しか整備されておらず、長崎県内においても60%程度に留まっています。

地権者に対する境界立会前の事前説明

地権者に対する境界立会前の事前説明


当協会では法第14条1項の地図の整備に協力するため平成22年度から長崎地区での登記所備付地図作成事業、地籍調査事業を初めとして、平成23年度には島原地区でも地籍調査事業に着手し、佐世保地区においても、平成24年度から地籍調査事業と登記所備付地図作成事業に着手しました。

最新の測量技術を活用し登記所備付地図作成事業によって完成した法第14条1項地図

最新の測量技術を活用し
登記所備付地図作成事業によって完成した法第14条1項地図


この法第14条1項地図作成作業では、当協会の社員が土地1筆ごとに地権者の境界立会いをもとに境界点を確認して地積の測定を行い、登記記録に反映させることを目的としており、その効果として境界トラブルの未然防止、不動産取引の円滑化、課税の適正化などに繋がっております。
作業区域内の地権者の皆様方には、境界立会作業で貴重なお時間を頂き、また敷地内へ立入っての測量作業等におきましても、ご迷惑をおかけする事も有るかとは思いますが事業の趣旨をご理解のうえご協力をお願い申し上げます。

平成25年度登記事務研修会の報告

 官公署等の嘱託登記担当者を対象にした登記事務研修会を平成25年10月31日(木)に長崎市内の長崎県勤労福祉会館において開催しました。
今年は東日本大震災関連を研修の中心課題として、講師についても震災を体験された岩手県の土地家屋調査士の先生に講義をして頂きました。

岩手県土地家屋調査士会沿岸支部長金哲朗先生

1番目の講師を岩手県土地家屋調査士会 沿岸支部長の (きん)哲朗(てつろう) 先生に「震災の教訓と土地家屋調査士の役割」についてと題して津波が押し寄せる中での緊迫した体験談を中心に貴重な話しをして頂きました。
2番目に公益社団法人 岩手県公共嘱託登記土地家屋調査士協会
副理事長・県北地区長の 下斗米(しもとまい)光昭(みつあき) 先生より「東日本震災復興業務への対応」と題して、地震により広範囲に土地が移動した実態及びその対応を中心にお話しをして頂きました。

岩手県公共嘱託登記土地家屋調査士協会副理事長・県北地区長下斗米光昭先生

最後に長崎地方法務局  村瀬(むらせ)幹雄(みきお) 表示登記専門官より「土地建物実地調査要領」についての講義をして頂きました。
今回の研修会参加者数は、139名で官公署等の嘱託登記担当者の皆様及び土地家屋調査士の方に参加して頂きました。有難うございました。

長崎地方法務局 村瀬幹雄表示登記専門官

報告者 総務部 宮脇成芳