当公嘱協会の公益事業の一環として開催してきた公開講演会も今年で4回目となります。
今回は、公益財団法人 東京財団 研究員・政策プロデューサー 吉原 祥子氏を招き、演題 「日本の土地制度の課題 ~10年後のために登記・実態把握を~」について講演をしていただきました。
平成27年 6月12日(金)、長崎市内の長崎県農協会館に於いて開催したところ80名余りの一般市民、官公署職員、県市議会議員、司法書士、土地家屋調査士の方々に参加していただきました。
土地(国土)は、一般的に個人の財産であると理解されておりますが、公共財産としての側面も有しています。しかし、現在のわが国ではグローバル化による海外居住者の土地取得、人口減少による土地の管理放棄、相続後の権利放置等により所有者情報の不明化が進み国土の所有・利用実態の把握が困難な状況に成りつつあります。
こうした土地所有者情報の不明化は、公共事業の用地買収を困難にしており、東日本大震災後の復旧事業等にも遅延が生じるなど大きな影響を与えています。
このまま、人口減少、グローバル化が進むとこれらの問題が拡大し、社会的損失が更に膨らみ、我々の子々孫々の世代に大きな被害を与えかねない深刻な問題になることが予測されます。このことについて、講師の吉原氏から問題提起がなされ、現在の政府の状況や対応についての説明をいただきました。
会場からは多くの質問もあり、近年の土地問題に関する関心の高さを感じました。これからも公嘱協会として、土地問題等について県民の方々への情報提供の機会を創って行きたいと思っています。
報告者 公嘱協会総務部長 宮脇 成芳
今年度の業務処理細則第14条に基づく研修会は、長崎県土地家屋調査士会と合同開催し、測量に関する研修を主に行いました。
平成27年6月9日・火曜日に東彼杵町総合会館において開催したところ130名余りの土地家屋調査士及びその補助者の方々に参加をしていただきました。
午前の部は、国土交通省国土地理院測地部より技術専門員の永田先生に「三角点・水準点の今後とSSPマニュアルについて」と題して講義を行っていただきました。
日本国土に設置されている電子基準点とGNSS(Global Navigation Satellite Systemsの略で、全地球航法衛星システムの事でアメリカのGPS、欧州のGALILEO、ロシアのGLONASS、日本の準天頂衛星等測位衛星の総称である)を活用する事で、測量精度の度合いによっては測量時間と手間の短縮を図る事が出来る時代になっております。
国土地理院として、測量の効率化をするためのマニュアルを作成しており、その内容について、永田先生より詳しく説明を受けました。
午後からは、熊本県土地家屋調査士会会員の島田先生から「調査士業務における測量の基礎知識と測量雑学と地籍測量の変遷」を演題として研修をしていただきました。
我々土地家屋調査士が、知っている様で知らない基礎的な測量に関する知識から最近の測量機器の取り扱いの注意点について説明をしていただきました。
なお、公嘱協会でも地籍調査や地図作成業務が多くなっており、調査士の日常業務においても地籍図が存する地域で業務頻度が年々高くなっている近年の実情があります。そのため島田先生には地籍測量の変遷を調査していただき、測量基準等の変遷について、説明をしていただきました。
研修会の永田先生及び島田先生には、参加者に理解しやすい講義をしていただき有難うございました。
報告者 公嘱協会 総務部長 宮脇成芳
秋も深まった平成26年11月6日に、官公署等の登記事務職員を対象とした登記事務研修会が、長崎市内のセントヒル長崎において開催されました。
本土及び壱岐、対馬及び五島などの離島を含む県下の官公署等の職員さんを始め土地家屋調査士の方々がこの研修を受講されました。
今回の研修は、法務局 海田 表示登記専門官が「地積測量図の変遷について」と題して、余談を交え、古い時代の地積測量図から現在に至る地積測量図作成の根拠法規の変遷を解説して頂きました。
次に、司法書士の宮川氏により「成年後見制度について」、長崎地方法務局 高梠総括表示登記専門官が「筆界について」を演題として研修して頂きました。
130名を超える参加者に、普段の登記事務に必要な知識を講義いただき有難うございました。
報告者 総務部 宮脇 成芳