平成23年度 長崎協会だより
平成23年度未登記建物の表題登記促進事業の報告
当協会は、すべての官公署の建物が表題登記される事により、不動産登記制度が国民にとってさらに安心して利用しやすい制度を目指し、10ケ年計画を策定し長崎県下の官公署所有建物を無償により表題登記を実施しております。
平成23年度は、諫早市庁舎と佐世保市庁舎を対象として建物表題登記を実施いたしました。
諫早市庁舎
諫早市は長崎県の県央地域に市庁舎を有され、平成の合併に伴い新庁舎が建設されました、諫早市舎は鉄筋コンクリート造10階建 延べ床面積 22,157㎡におよび一番新しい庁舎は平成21年に新築され、まだ真新しい庁舎であります。
引渡式を実施し、理事長から宮本明雄 諫早市長へ登記完了証一式を引渡すと共に、諫早市庁舎の表題登記完了の報告を行いました。
諫早市長への引渡しの様子
佐世保市庁舎
また、佐世保市役所は、長崎県の北部に位置し鉄骨・鉄筋コンクリート造13階建で延べ床面積 25,601㎡と広大で、佐世保市のランドマーク的存在の建物として、今回表題登記された登記情報、図面情報と共に一般国民へ提供されていく事になります。
平成24年度以降も県下の官公署において表題登記促進事業を継続して実施していく計画です。
長崎県立鹿町工業高等学校にて出前授業を開催
師走となった平成23年12月15日に、長崎県北部に位置し佐世保市鹿町町にあります長崎県立鹿町工業高等学校において土地家屋調査士による出前事業を開催しまた。
公嘱協会の社員でもある土地家屋調査士が講師となり、土地家屋調査士の仕事、調査士試験について説明をされ、土地の境界線についても上手に生徒の身の回りにある事柄に例えて解かるように説明されていました。
調査士を将来の職業として、選択する生徒が出てくるようにとの思いを込められた講演でもありました。
測量技術講習として、校舎周りで土地の境界測量を想定して、トータルステーション、平板測量、巻尺のみの測量、歩測による測量の4種類を各班に分かれ、生徒自らに体験してもらうため、先生及び土地家屋調査士9名の応援隊も参加し、学校敷地内において測量実習を行い、その後実習室に戻り、各種測量方法の特性、各測量方法における測量誤差について生徒さんに理解を深めてもらいました。
報告者 総務部 宮脇成芳
第4回平成23年度公共嘱託登記事務研修会の報告
長崎県下における官公署等の嘱託登記事務担当者を対象として例年実施している公共嘱託登記事務研修会を、今年も平成23年10月28日に長崎市内に於いて開催いたしました。
近年は不動産登記法改正により筆界特定制度の創設、オンライン登記申請の開始、法務局の支局・出張所の統廃合、商業登記の集中化など、登記制度を取り巻く環境が変化しており、研修を通じて、嘱託登記手続きが円滑に実施される事により、本協会が目的としている不動産に係る国民の権利の明確化に寄与するためにも、この研修会を開催しております。
今回は、県市町の登記事務担当の職員、他県からご参加いただいた調査士などを含め159名の方に参加して頂きました。
会場はホテルセントヒル長崎の大ホールでしたが、満席に近い状況でした。
研修内容としては、(1)筆界特定制度について、(2)相続登記について、(3)実地調査要領(指針)についての3項目で、法務局登記官様、司法書士の先生に講師を務めて頂きました。
参加者の多くは、登記事務に関わり何等かの疑問を抱えておられると思いますので、この度の研修で少しでも疑問等の解決にお役に立つ事が出来たなら、幸いに存じます。
基準点の点検レポート
去る3月11日に発生した東日本太平洋沖地震は、地殻変動により4mを超える土地の移動が確認され、大きく報道されたことは記憶に新しいところであります。
日本列島は地殻プレートが複雑にぶつかり合った地域にあり、世界有数の地震大国と言われる由縁でありますが、これに起因するように全国いたるところで大なり小なり複雑な地殻変動が発生しています。
現在は、土地の地殻変動による移動量を知る方法としてGPS衛星を利用して土地の移動を監視している電子基準点から得られるデータを解析する事により知る事が可能となっています。
右の写真は電子基準点
点名 外海(長崎市)
国民の大切な財産である土地の基本図の役割を果たしている地図が法務局へ備え付けられており、その地図により土地の地番、境界線の位置等の情報源として国民へ公開されていますが、このように地震が発生するたびに地殻変動で地図が現地に一致しない事態になっています。
この様な地殻変動が発生すると地図の役目を果たす事が出来なくなる事が、過去の地震でも発生してきました。
そこで、当協会が法務局の委託により地図を作成した地域における地殻変動の状況を定期的に観測を行い点検していく事により、地殻変動があっても、現地と一致した地図の再製が可能となります。
この観測方法は当協会において過去に地図を作成をした区域内に設置されている基準点についてGPS衛星を利用した観測を行い、国土地理院が設置した電子基準点との位置関係を計算解析する事で、高精度の地殻変動量を得ることができます。
定期的に地殻変動量を把握していれば、たとえ地震等により現地と地図の齟齬が生じたとしても、土地の基本図である地図の情報を迅速に再製することができ、国民への正確な地図の提供が継続的に可能となり、延いては国民の財産保全へとつながります。
このように日本国土においては、色々な形で地殻変動が発生している事は避けて通れない自然現象となっています。
長崎市錦2丁目の観測地点
土地の境界標識が亡失等により境界が不明となった場合などは、土地の基本図になっている不動産登記法第14条地図に基づき境界復元測量を行い、現地に境界を復元することができます。
土地境界の専門家である土地家屋調査士が構成員である当協会においても、通常業務の一部として境界の復元業務を行っております。
将来に渡り国民の土地境界問題等の安定を図るために当協会の自主事業として、法14条地図の基準点の点検のため、平成23年9月22日、長崎市内に於いて当協会長崎支所社員の協力によりGPS機器を用いた測量観測を実施しました。
長崎市片淵1丁目の観測地点
長崎市葉山1丁目の観測地点
法14条地図作成作業・地籍調査事業について
公嘱協会は、『登記所備付地図作成作業』と『地籍調査事業』による地図作成に取り組んでいます。
公嘱協会の社員は一人一人が土地家屋調査士の有資格者です。 その社員が力を合わせて作業者として地図作成に関わります。 国民の皆様の財産である土地の位置・境界・地目・面積の調査・測量を行い、登記所備付地図を作成します。地図が正確になることにより、隣地間のトラブルも減少します。
『登記所備付(不動産登記法第14条第1項)地図作成作業』は平成17年度から実施しております。 法務局直轄事業であり、登記官と共同で作業を進めます。 長崎はすり鉢状の地形が特徴で車両進入不可能な住宅密集地も多く、斜面や坂道や階段も多いため、これまでは正確な地図が不足していました。 この作業で、地図混乱のある地域を解消していきます。 その結果、国や地方自治体等の公共事業の実施が速やかになり、土地所有者間の安全な不動産取引も円滑に、効率的かつ低予算で出来る様になります。
『地籍調査事業』は、平成22年度から実施しております。 長崎市の事業であり、E~H工程を受託しました。
平成23年度からは、『不動産登記法第14条第1項地図作成作業』により不動産取引が活発な市街地の地図の混乱した地域を中心に行い、『地籍調査事業』により、東長崎地区の広範囲な地域を実施していきます。
今後も、順次各年度で地域を区切って実施していく予定です。